
2026年2月 5日 15:29

今回は、教育学科で「教育人間学」を専門とする須川公央先生にお話を伺いました。
「教育ってなんだろう?」「先生ってどんな仕事?」と考えている高校生のみなさんや、進路を考える保護者の方に向けて、研究のこと、教育学科での学び、そして白梅ならではの魅力について語っていただきました。
インタビュアー 発達臨床学科4年 Y.M さん

A: 一言で説明するのは難しいのですが、簡単に言うと「教育をさまざまな社会の営みとの関連の中で捉える学問」です。
経済学や哲学、宗教学、生物学などとも結びつけながら、教育を人間や社会の大きな流れの中でとらえていきます。歴史や思想の研究も含まれていて、「教育って、実はこんなに奥が深いんだ」と気づかせてくれる分野なんですよ。
A: 実は大学の学部は理系で、中学校の理科の先生になろうと思っていました。
でも大学で受けた教育心理学の授業がとても面白くて、「教育っておもしろい!」と一気に引き込まれたんです。
学生時代は順調というより、むしろ回り道ばかりでした(笑)。卒業までに6年かかりましたし、塾講師のアルバイトをしたり、海外を旅したりもしました。でも、その寄り道があったからこそ、教育を深く考える視点が身についたのだと思っています。
A: 白梅の学生は、子どもに話しかけるとき、自然としゃがんで目線を合わせるんです。そうした姿勢に、優しさがにじみ出ているなと感じます。すれ違えばきちんと挨拶もしてくれる。実際、実習校からの評判もいいんですよ。先生と学生の距離が近いのも、白梅ならではですね。

教育学科は新しい学科なので、「みんなで一緒につくっている」というフレッシュな雰囲気があります。1年生から学校現場に出て子どもたちと関われる研修があること、教員採用試験への手厚いサポートがあることも大きな魅力です。
特にここ2年は、東京都の教員採用試験で合格率100%を維持し続けています。
A: それはよくある誤解だと思います。確かに「教育」「子ども」という分野に特化していると、外からは選択肢が限られているように見えるかもしれません。
でも白梅では、教育・福祉・心理を横断的に学ぶことができるので、子どもに関わる幅広い進路にもつながっています。
また、1年生から近隣の小中学校や地域に出て体験できるプログラムもあり、現場を知ることで自分の進路を具体的に考えられるのも強みです。学生たちからは「思っていたよりも進路の幅が広い」とよく聞きますし、実際に教員採用試験でも高い実績を出しています。
進路を固定するのではなく、挑戦や横断的な学びを通して、自分に合った道を見つけられる環境だと思います。
A: 一番の魅力は、「子どもと正面から向き合う経験をたくさん積めること」ですね。
1年次から「学校フィールドワーク演習」という授業で学校現場に出て、子どもの声を聞いたり、先生方と関わったりする機会があるのは、とても貴重だと思います。

さらに、白梅では福祉や心理の分野も学べるので、教育を広い視点から考えられるようになります。
「勉強ができるようにする」だけでなく、「子どもが安心して生活できるにはどうしたらいいか」と考えられる力は、これからの先生に求められるとても重要な資質・能力です。
A: 将来、東京都の小学校や特別支援学校で、白梅の卒業生がたくさん活躍している姿を見たいですね。
ただ、大学の4年間で全てを完璧に身につける必要はありません。寄り道や迷いの中で人間として成長することが、結果的に子どもに向き合う力になると思っています。

A: 大学の学びは、「資格を取って終わり」ではありません。先生になる人が多いですが、カウンセラーや研究者、まったく違う道に進む人がいてもいいと思っています。
そのため授業では、政治教育や金融教育など、学校では扱いにくいテーマも取り上げています。
どんな進路に進んだとしても、「大学で学んでおいてよかった」と思えるものを持ち帰ってほしいですね。

A: この本は、カナダの教育学者 デボラ・P・ブリッツマン によるもので、フロイトの思想を「教育」という視点からあらためて問い直した一冊です。
フロイトの教育思想と、その今日的な意味を考えながら、フロイト思想の全体像を提示し、「教育とフロイトはどのようにつながっているのか」を根本から掘り下げています。
正直に言うと、学部生や高校生には少し難しい内容かもしれません。どちらかというと、大学院生や現職教員にじっくり読んでもらいたい本ですね。特に、第三章「転移性の愛、あるいはマニュアル化の回避」は、現職の先生方のみならず、これから教職に携わろうと考えている方にもぜひ読んでもらいたい一章です。
日本では、フロイトの教育論を正面から論じる研究は、あまり多くはありません。
この本は、そうした海外の先行研究を日本に紹介する意味もあって翻訳しました。監訳の作業は正直かなり大変でしたが(笑)、それだけに、教育を深く考えたい人にとっては読み応えのある一冊になっていると思います。
A: はい。学長補佐として、入試や学生募集に関わる仕事も担当しています。授業がない日は、入学センターにいて職員の方々と打ち合わせをしていることも多いですね。
入試は、大学にとって学生との「最初の出会いの場」でもあります。
どんな学生に来てほしいのか、大学として何を大切にしているのかが、入試制度には表れると思っています。だからこそ、教員の立場から教育の視点を伝えつつ、職員のみなさんと一緒に考えることを大事にしています。
学生募集や入試というと、どうしても数字や制度の話になりがちですが、その先には必ず「学生一人ひとりの大学生活」があります。
白梅に入学してくる学生が、安心して学び、自分の可能性を最大限に花開かせることができるように――そんな入口をつくる仕事だと考えています。

A: 実は釣りが大好きで、水上バイクに乗って行うジェットフィッシングにも挑戦しました。水上バイクに乗って行うジェットフィッシングが最大の息抜きです。
38キロのマグロを釣ったこともあります(笑)。旅行も好きで、宮沢賢治ゆかりの花巻や遠野など、東北の町々によく出かけています。そうした時間が、研究や授業のリフレッシュになっています。

A: 白梅は、学生も先生も温かく、互いに支え合う雰囲気のある大学です。個人的には「日本一の大学」だと思っています(笑)。安心して過ごし、挑戦できる環境であると自負しています。
高校生のみなさんには、「今すぐ答えを出さなくても大丈夫」ということを伝えたいですね。
進路は一つではありませんし、寄り道や迷いの中で見えてくるものもたくさんあります。大学は、そうした経験を重ねながら、自分なりの一歩を探していく場所だと思います。
保護者の方には、学生一人ひとりの歩みに寄り添いながら支える大学であることを知っていただけたらうれしいです。
ここでの2年間/4年間が、その先の人生につながる大切な時間になることを願っています。

いかがでしたか?
とても素敵なお話でしたね🌟
インタビューの中で、須川先生が仰っていた「遠回りをしてもいい」という言葉が、特に印象に残っています。
教員という立場の先生から語られるからこそ心に響き、そして、さまざまな経験を重ねてきた須川先生だからこそ出てくる言葉なのだと感じました。
私はこれまで、何かに夢中になった経験があまりなく、今は「やりたいことや好きなことを見つけること」を目標にしています。
今回のお話を聞いて、須川先生の言葉のとおり、今は焦らず、いろいろなことに挑戦してみようと思いました。
好きなことや進みたい道のきっかけは、本や人など、ほんのささいな出会いかもしれません。
これまで出会ってきた人や出来事、そしてこれから出会う人や物を大切にしながら、自分なりの一歩を見つけていきたいと思います。
※肩書・所属はインタビュー当時のものです。