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<家族・地域支援学科>山路 憲夫教授 白梅学園理事長 小松 隆二ほか共著 著書『東日本大震災後の公益学と労働組合』(現代公益学会 編)が刊行されました。

2015年2月12日 09:00

『東日本大震災後の公益学と労働組合』(現代公益学会 編) 文眞堂 2014年

本の主要目次20141129_001.jpg

第Ⅰ部 東日本大震災後の公益法人および公益研究

 第1章 日本における公益法人の市民化の軌跡(小松隆二)

 第2章 地域包括ケア構築の実践的課題(山路憲夫)

 第3章 公的年金制度はいつまで持つか

 第4章 現代の風評被害の構造

 第5章 一日一善運動を通して「公益心の芽」を育てる

第Ⅱ部 東日本大震災後の労働組合

 第1章 労働組合と市民社会

 第2章 公益的労働運動とは

 第3章 連合の非正規労働者等に関わる取り組み

 第4章 非正規の声は聞こえるか

 第5章 公益の担い手としての労働者自主福祉

 第6章 静かに一大転換期を迎えた労働組合(小松隆二)

 

 

著者より一言  家族・地域支援学科 教授 山路 憲夫

「第Ⅰ部 第2章 地域包括ケア構築の実践的課題」

 「地域包括ケア構築の実践的課題―――東京都国立市の取り組みからの検証」

公益とは何だろうか。古くて新しい課題ではあるが、とりわけ今の日本の社会にとって、その今日的な意味、重要性が問われている。高度経済成長を果たし、日本は成熟社会の段階に入ったが、未曾有の少子高齢社会と膨大な財政赤字、進むグローバル経済の中で、突破口をなかなか見出せない。現代公益学会が2014年7月に設立されたのは、公益というキーワードで様々な分野での研究成果を示すことで、公益性を持った市民や団体が地域を、社会を変革する動きにつなげたいという思いからである。

 筆者が本稿で取り上げた「地域包括ケア」は正に、それぞれの地域での公益性が問われている課題である。要介護やその一歩手前の高齢者は増え続け、これまでの法制度や行政サービスでは支えきれない。縦割りの法制度を超え、医療や介護、福祉、住まい、予防を包括的に提供する。それにより安心して暮らせる地域をどう作っていくのか。地域の再生というより、地域の生き残りをかけた取り組みである。そのためには官と民間、行政サービスだけではなくNPOやボランティアによる住民が一体となって、支えあいの仕組み、内容を作る。その原動力となるのは正に公益の意識である。

 本稿は国立市で4年前から取り組まれてきた多職種による地域包括ケアづくりの経過とその中で浮き彫りにされた課題、問題点を明らかにした。それは現在進められつつある市町村での地域包括ケアづくりにも役立つのではないか、という狙いからである。

 

 

著者より一言 学校法人白梅学園 理事長 小松 隆二

「第Ⅰ部 第1章 日本における公益法人の市民化の軌跡」

「第Ⅱ部 第6章 静かに一大転換期を迎えた労働組合」

 筆者は、営利を目的にしない巨大組織である公益法人と労働組合の今後のあり方について公益の視点から検討した。

公益法人は公益法人改革もあり、大震災後重大な転機を迎えている。また労働組合はかつての栄光は失ったものの、なお社会的役割は小さくない。どちらも非営利組織として東日本大震災では従来の活動のあり方・枠を超えて被災民・被災地の救援には顕著に貢献した。

 資本主義社会の安定的・調和的発展には、今後も公益法人と労働組合の役割は小さくない。むしろこの両者の活動・組織の拡大・発展なしには、資本主義社会の安定・調和も十分には保障されない。

その公益法人も、労働組合も、従来一般市民や地域を軽視してきた。公益法人がさらに発展するには市民化・地域化、また労働組合が組織的回復を図り、運動を発展させるにも地域化をすすめることが欠かせない。そのように従来の組織や活動のあり方を超えることにこそ、今後の発展の鍵が存在する点を強調した。

 

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