◆授業科目の目的◆
心理学は、それまでの心や体に関わりを持つ諸学の研究成果を取り入れながら、一人一人の内的経験である「心」を研究対象としてきた。主観的経験を学問体系にどのように組み入れていくか試行錯誤した試みともいえる。ここでは、そうした心理学研究を理解する基盤作りとなる学習を行う。心理学は何を研究課題としてきたのか、どのような研究手法を用いてきたのか、どのような考察を加えてきたのかを学ぶ。
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◆授業科目の到達目標◆
心理学の基本用語、および主要な研究者の業績を知る。 心という主観的経験を、どのように研究対象としてきたのかを知る。 心の成立要因について、経験論を中心としつつ、多様な視点から考察できるようになる。 心理学はどのような学問体系を持っているのかを理解する。
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◆授業の概要(テーマ)◆
実証主義に基づく研究を取り上げ、「心」を研究対象としたときに、どのような成果を得ることができたのかを概観していく。「研究史」から始まり、生存の基本となる「欲求」から、人と人が関りをもつ「社会的行動」に至るまでを、「動機づけ」、「発達」、「感覚」、「知覚」、「学習」、「感情」、「情動」、「性格」といった、心の働きごとに分けて、どのような発見があったのかを講じていく。
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◆授業計画と授業内容◆
1. | 歴史:心理学の始まり、心理学とは |
2. | 基本的欲求:生理学的要求、感覚への要求、好奇動機 |
3. | 動機づけ:内発的動機づけ、外発的動機づけ、利他的行動 |
4. | 発達:初期経験、愛着、認知発達 |
5. | まとめ1 誕生~成長の中で獲得されること |
6. | 感覚:感覚の生理学、乳児の感覚・知覚 |
7. | 知覚:ゲシュタルト心理学、錯視、奥行き知覚、恒常性、無意識的推論 |
8. | 学習1:知覚・運動学習、睡眠と学習、単純接触効果 |
9. | 学習2:パヴロフ型条件づけ、情動条件づけ、好みの条件づけ |
10. | 学習3:オペラント条件づけ、強化、報酬系 |
11. | まとめ2 経験から獲得されること |
12. | 感情・情動1:基本的感情、表情、身体表出 |
13. | 感情・情動2:ジェームズ・ランゲ説、情動二要因説、感情と知性 |
14. | 性格と社会的行動:類型論、特性論、気質、ストレス反応、集団、同調行動 |
15. | まとめ3 関わりの中で生きる心、心理学とは |
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準備学習のアドバイス |
事前学習は、授業内容と関連する教科書を読み、どのような専門用語が使われているのか、どのような研究手法を用いているのかなどを調べておく。 事後学習は、授業内容の復習として、専門用語、学説、研究者名などの情報を整理する。また、自分の生活の中で、授業内容と関連することを見つけ考察を加えておく。 |
成績評価方法と評価基準 |
教場試験の成績(80%)と平常点(20%)による。なお、欠席・遅刻は一回につき2点分の減点とする。 教場試験では、専門用語、学説、研究者名を問う客観試験(70%)と、心理学研究を通して知り得る「心」について、および心理学研究そのものについて、各自の考察内容を問う論述試験(30%)で構成する。 授業内での問いかけに対する応答、および「まとめ」ごとに提出を求める事後学習の成果(レポート形式)をもって平常点とする。 |
テキスト |
「心理学 ―心のはたらきを知る―」(梅本堯夫・大山 正・岡本浩一、サイエンス社、1999年) |
連絡先(メールアドレス) |
takino@shiraume.ac.jp |