◆授業科目の目的◆
保育・教育の現在における問題と向き合い、これからを考えるとき、歴史を紐解くことは、方向性を得るための手がかりにつながるかもしれない。時間軸の大きな流れが織り成してきた保育・教育の史実が、なぜどのような経緯で、どんな思惑によって形成されてきたのかを学ぶことは、懐古の情に浸るためではなく、今を生きる我々が文化の伝達者として「正しく知ろうとする」ためである。
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◆授業科目の到達目標◆
・子どもの捉え方の変遷を知り、子どもと大人の関係性へのまなざしを学ぶ。 ・保育・教育の歴史や思想に関わる基礎的知識を習得する。 ・時間軸の大きな流れで教育を捉える方法、ひとつの事項を多角的に考える方法を学ぶ。 ・歴史的視点からのアプローチについての方法論に関心を持ち、その手法を活かしてレポートを作成する。
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◆授業の概要(テーマ)◆
子どもと大人の関係性の変遷を概観した上で、西欧における学校形成の歴史について学校体系の視点から捉える。 日本における学校教育の形成から確立に至る歴史について、政府の教育構想、代表的教育思想、時代的背景などからアプローチし、その中で、幼児教育がどのように位置づけられていたのかを学ぶ。 保育・教育についての事項を歴史的な方法で取り上げることにより、論理的に考える手立てを示す。
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◆授業計画と授業内容◆
1. | 「子ども」の捉え方の変遷と子どもと大人の関係性 |
2. | 西欧における下構型学校形成の歴史と意味 |
3. | 明治政府の初等教育構想と学校の機能 |
4. | 幼稚園の黎明と「例外」ゆえの歴史 |
5. | 儒教主義の導入と教育論争 |
6. | 森有礼の教育史における意義と限界 |
7. | 諸外国の幼児教育思想について |
8. | 明治期の幼稚園論争 |
9. | 倉橋惣三と児童中心主義 |
10. | 城戸幡太朗と集団保育論 |
11. | 試験と選抜にみる学校文化 |
12. | 幼稚園令における幼保一元化の視点 |
13. | 戦後の教育史~教育改革を機軸として~ |
14. | 戦後の保育史 |
15. | 歴史的手法による方法論と論理的思考について |
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準備学習のアドバイス |
事前としては、保育・教育についての学びを通して、歴史的な事項の疑問や関心について整理しておく。 事後としては、本講義において提示した考え方や方法を卒業論文等の構想・執筆に活かす。 |
成績評価方法と評価基準 |
最終レポート(70%)と平常点(30%)による。遅刻は3回で欠席1回に換算し、欠席は1回につき2点の減点とする。最終レポートは、本講義にて提示した手法や視点を活かして書くことを条件とし、平常点とは、授業中の小レポートや授業への参加度(考えながら参加しているか否か)によって判断する。 |
テキスト |
特に指定は無し。適宜プリント等を配布する。 |
連絡先(メールアドレス) |
研究室:E212 メールアドレス:takada@shiraume.ac.jp |