◆授業科目の目的◆
民俗学は柳田國男を中心として、20世紀前半から確立されてきた、日本人の持つ「伝統」的な生活文化を理解・研究する学問である。しかし、現代社会の文化は錯綜を極め、「伝統」と「現代」との間に明確な境界を設けることができない。知らず知らずのうちに「伝統」を生きている場面、「伝統」と思っても意外なほど歴史が浅かったりすることも多い。授業では、できる限り平易にこの構造を説いてみたい。
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◆授業科目の到達目標◆
・日本文化の多様性を理解する(東北型文化から南西諸島文化まで) ・日本人にとっての日本文化の意味を知る ・身の回りの文化の中に、思う以上に古い文化があることを理解する ・「昔と現代(は共感しあえない)」という思い込みから脱出する
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◆授業の概要(テーマ)◆
この授業では、民俗学の成り立ちから始め、現代習俗に潜む民俗文化までを考えてゆく。柳田國男はどのようにして民俗学の課題と研究手法を発見したのか。20世紀後半の大きな社会変化により、日本人の価値観はどのように変わったのか、あるいは変わらなかったのか。主として「農村」を研究する民俗学は、どのように都市文化や現代文化を研究しているのかなどを考察してみよう。
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◆授業計画と授業内容◆
1. | 柳田國男の生涯(民俗学以前) |
2. | 柳田國男の「学説」 |
3. | 口頭伝承の構造 |
4. | 口頭伝承の構造(2) |
5. | 民俗文化の骨格 |
6. | 家族・親族・村落 |
7. | 儀礼と世界観 |
8. | 都市社会の民俗 |
9. | 都市社会の民俗 |
10. | 京都五山送り火の構造 |
11. | 現代社会の民俗学 |
12. | 江戸・東京の民俗 |
13. | 新宿の今昔 |
14. | 民具と身体 |
15. | まとめと復習 |
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準備学習のアドバイス |
事前学習として、自分は日本文化について何を知っているのかを自答してみよう。 また、沖縄や京都など、必ずしも慣れ親しんだ場所ではないところも多く取り上げるため、常に自分の身の回りの出来事とも比較しながら考える癖をつけてください。参考書は、授業中に適宜指示します。一冊でも多く、読破してください。 |
成績評価方法と評価基準 |
受講人数にもよるが、原則として期末のレポートによって評価する。不定期に簡単なレポートを課すこともあるが、その際の授業参加度(意欲の高さ)の高い学生を尊重したい。 |
テキスト |
特に指定しない。タイトルに「民俗学」とある市販の本を一冊読んでおくと、全体像が見えやすくなるかもしれない。 |