白梅学園 授業概要(シラバス)2012
サブタイトル 担当者 開講時間 授業形態 単位数
授業科目名 アフタースクール研究 上平 泰博 後期 講義
◆授業科目の目的◆
自由な放課後生活の時空間は、子どもの成長と発達には欠かせない土台骨。ゆたかな自然が自主活動、創造活動の栄養源だった。就学後の子どもは、高齢者、若者、乳幼児といった異世代と多様な職業家たちと出あって社会的な自立を遂げた。こうした子ども期の様相が一変しているとき、いま新たなソーシャルコミュニティーステージの構築が、家族・地域子育て支援(者)にも必要とされており、そのあるべき実践理論を考究する。
◆授業科目の到達目標◆
子どもの民俗文化史・生活史・学校外の教育・福祉史を系統的、包括的に概観する
子ども像や子ども観の節目をたどりながら、「子ども最前線」から「子ども未来」を構想する
子ども世界の遊びの技と匠を会得するなかで、「センス・オブ・ワンダー」に磨きをかける
アクションリサーチの手法で、行動力と実践力を身につける

◆授業の概要(テーマ)◆
ヤンチャでイタズラ大好き、喜怒哀楽がストレートに出せるのが子どもらしさの定番といわれてきた。その実際と根拠を歴史から学び、自らの子ども体験を振り返って重ね合わせることで、共通点や違いを比較研究する。アフタースクールのありようを見据えながら、子ども空間と施設での探検を試み、遊び心の醍醐味を体得する。同時に課題や問題点も受けとめ、問題解決の学習方法を探る。ワークショップの形式をできるだけ取り入れる。
◆授業計画と授業内容◆
1.「アフタースクール」の概念と先行研究を探るため、ワークショップ形式でその意味を考察する
2.学校外の生活(民俗・文化)、教育、福祉の歴史からの子ども観と人類史からみた自然権思想を概観する
3.学校外の教育・福祉・医療・労働等の領域から、関心のある放課後事例を調べて理解する
4.子どもは地域の社会的・文化的・自然的な存在者であった。なぜ通過儀礼を受けていたのかを考える
5.学校力と家庭・家族力と地域力の三層構造は、どのような関係にあるのかを把握する
6.地域で暮らす高齢者、障害者、外国人、若者がアフタースクール事業に参画して子ども交流するということ
7.引きこもり、不登校、ニート、虐待など孤立無援者に居場所づくり支援などをはじめるということ
8.子ども若者のまちづくり(社会的起業)と「新しい公共」や職業選択を視野に入れた放課後活動とは
9.児童館・学童保育、ジュニアリーダー、スポーツ振興などの子ども行政施策と法制度のしくみ
10.放課後生活の現状分析。学習塾、お稽古・スポーツ塾などの実態と課題からみえてきたこと
11.放課後生活の現状分析。学童保育、児童館、公園・ゲーム遊びなどの実態と課題からみえてきたこと
12.自分の住んでいる地域施設を訪問して社会貢献活動してみよう(アクションリサーチⅠ)
13.三多摩地域の子ども施設をグループで訪問して社会貢献活動してみよう(アクションリサーチⅡ)
14.問題解決型の実践体験の成果をもちより、みんなでディベート
15.アクションリサーチを振り返り最終レポートをまとめる

準備学習のアドバイス アフタースクール研究は、学校以外の子ども施設で働いてみたいと考える学生にとって必須。小レポートを書くことは、自分の課題意識を研ぎ澄まし、より探究心を鍛える。問題解決意識や想像力を喚起させるには、自分の近くにいる子どもや地域に先ず関心をもって、最先端のすばらしい活動事例を知ることが大切。
成績評価方法と評価基準 レポートの内容。さらにワークショップ、アクションリサーチでの意欲、計画性、目標設定、課題意識、活動結果等についても成績評価の対象とする。
テキスト 『「廃校」に地域力がはじけるとき』(萌文社)。その他の参考文献は、講義のなかでそのつど紹介する。
連絡先(メールアドレス) uehira@pd5.so-net.ne.jp
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