白梅学園 授業概要(シラバス)2010
サブタイトル 担当者 開講時間 授業形態 単位数
授業科目名 認知の心理と教育 荻野 七重 前期 講義
◆授業科目の目的◆
 人は言葉で考え,言葉で説明し,理解する。それぞれが、自分の中に外の世界についての情報を取り込み、表象(主として言語)によって知識の体系を構築する。言い換えれば、外的世界が個人の内部に表象によって作り出される。個人の中に存在するこの知識の体系がどのようなものであり、どう機能するのか。このような知識の構造の特徴について、また記憶と知識の関係について知ることを目的とする。

◆授業科目の到達目標◆
1)条件づけを中心に展開した「学習の心理と教育」に続くものとして、行動主義心理学では扱うことのでなかった表象活動(主として言語行動)に焦点を当て、思考心理学の領域における心理学的基本概念を習得すること。2)すべての学習の基本である記憶について、その種類。メカニズム、メタ記憶等について、一般的理解と知識を習得すること。3)学習障害に関連する認知の特性を知ること

◆授業の概要(テーマ)◆
 以下のことをテーマとする。問題解決行動への異なるアプローチから、認知心理学の歴史的背景を概観する。概念の獲得における発達心理学的理論を取り上げ、発達過程・段階の思考の特徴を検討する。記憶と忘却のメカニズムを知り、有意味記憶・日常記憶における記憶の変容の問題を論ずる。認知、記憶の障害について考える。

◆授業計画と授業内容◆
1.問題解決行動への三つの異なるアプローチ
2.認知発達と推理1  ピアジェの認知発達の心理学
3.認知発達と推理2  ピアジェの認知発達の心理学(続き)
4.演繹的推理と機能的推理
5.創造性について
6.概念の獲得1  研究法 ブルーナーの認識能力の発達他
7.概念の獲得2  仮説検証法におけるストラテジー
8.(中間テスト)
9.言語の獲得:動物の言語、人間の言語獲得、スキナーの理論、チョムスキーの理論、
10.言語と思考に関する諸理論
11.記憶の3つの側面、研究方法他
12.記憶のモデル:記憶の2過程説・情報処理水準節他
13.忘却の理論、イメージと記憶、記憶術
14.有意味材料の記憶、 記憶の変容とスキーマ理論
15.(期末試験)


◆事前・事後学習のアドバイス◆
 日常生活の中で自分自身が考えたり、感じたりしていることを、第三者的な目で見る習慣をつけ、そこに見られる心理学的な事象に注目すること。次に講義で学んだことを、日常生活に生じた出来事に当てはめて理解しようと試みること。こうすることで得られる発見や理解が認知心理学をよりおもしろいものにしてくれるはずである。

◆成績評価方法と評価基準◆
 出席状況などの平常点と、中間と期末の2回の試験、その他、中間に課すレポートによって評価する。レポートは学習障害と認知に関することを課題とする。

◆テ キ ス ト◆
「(グラフィック)学習心理学:行動と認知」(山内光哉・春木豊、サイエンス社、2001年)
「認知心理学を知る」(市川伸一・伊東裕児)ブレーン出版 1987年


◆連絡先(メールアドレス)◆
E-mail(ogino@shiraume.ac.jp)