白梅学園 授業概要(シラバス)2010 |
サブタイトル | 担当者 | 開講時間 | 授業形態 | 単位数 | |||||||||||||||||||||||||||||||
授業科目名 | 哲学 | 平賀 明彦・石館 三枝子・赤石 憲昭 | 後期 | 講義 | 2 | ||||||||||||||||||||||||||||||
◆授業科目の目的◆ 人間を探求し、理解することが哲学の目的ですが、ここでは、まず「人間をどう見るか」を統一テーマとして、研究分野の異なる3人の教員がそれぞれの切り口で課題にアプローチします。人間を探求し、人間理解を深めるためにはどのような方法があるか、それぞれの分野の特徴をつかみながら、受講生一人一人に考えてもらいたいと思います。最初の5回は「人間、その進化」(石館三枝子)をテーマに、我々は40億年をかけて進化してきた存在でありその最大の特徴が、複雑な脳神経系のネットワークのシステムである事を理解することを目標とします。次の5回は、「哲学の歴史的変遷」(平賀明彦)をテーマに、哲学することの意味を歴史過程の中で見出すことができるか検討してみます。最後の5回は、「社会哲学への招待」(赤石憲昭)をテーマに取り上げます。人間にとって「他者から認められること」および「他者を認めること」は、とても重要な意味を持っています。この「承認」の重要性を、ドイツの社会哲学者アクセル・ホネットの承認論に拠りながら示すと共に、現代社会における「承認」をめぐる様々な問題についても、テレビ映像なども交えながら、時間の許す限り紹介することにします。 ◆授業科目の到達目標◆ 「人間、その進化」では、生物を作っている基本物質、DNAとたんぱく質の関係を理解すること、そして、サルから人への進化の要因は何か、脳による情報処理、言語の持つ意味を理解することを目標とします。 「哲学の歴史的変遷」では、古代から近代の哲学の歴史を概観する中で、その営みが何を目指し、何が達成されたのかを理解することを目指します。「社会哲学への招待」では、ホネットの承認論の基本的な知識を理解するとともに、その承認論的な視座から、現代社会の問題を各自が分析し、批判的に捉えることができるようになることを目指します。 ◆授業の概要(テーマ)◆ 授業は5回ずつで教員がバトンタッチしていきます。それぞれのアプローチの仕方にはとくに共通性を持たせることはしませんでしたが、いずれも、各々の研究領域に特徴的な切り口で人間理解に迫っていく方法=哲学する方法を提示します。それぞれの担当者の授業の柱立ては以下の通りです。 [石館三枝子]生命の情報を担うDNAの変異がその生物の姿、性質を変化させ、環境によって選択されるという進化の仕組みを考察します。ついでサルから人への進化の道筋を追い、脳と心の共進化について考えます。[平賀明彦]哲学の創始から説き起こし、近代に至るまでの変遷を辿ってみることで、人間探求の成果がどのように蓄積されてきたかを概観してみます。[赤石憲昭]哲学の重要課題である「善く生きる」ということは、この現代社会においていかにして可能なのかを、ホネットの承認論を手がかりにしながら考えます。「善く生きる」ために人間が獲得すべき「承認」の三類型を示すとともに、その「承認」を構造的に得られなくしているような現代社会の問題点についても明らかにします。 ◆授業計画と授業内容◆
◆事前・事後学習のアドバイス◆ 授業の中で、参考となる文献、資料を紹介するので、事前学習として読んでみることを勧めます。また、社会哲学に関しては、ホネットの提示する承認論は、何ら難しいものではなく、我々自身がこれまで経験しているような出来事を整理しているにすぎません。理論を学んだ後には、その視点から、様々な問題を自分で積極的に分析してみて下さい。 ◆成績評価方法と評価基準◆ 各々の担当部分が終了したところでレポートを課し、3人の総合評価で成績を出します。「社会哲学への招待」5回は、平常点(毎回の受講票コメント記入)30点+レポート70点の合計100点満点で評価を出します。 それぞれが提示した人間探求の切り口について理解しているかどうかを基準に評価します。 ◆テ キ ス ト◆ 石館、平賀はとくに定めません。赤石は、赤石憲昭「『希望はテロ』の背後にあるもの——「秋葉原事件」の承認論的考察」、『Ripresa』、第7号、2008年 ◆連絡先(メールアドレス)◆ hiraga@shiraume.ac.jp e-mail: akaishi@tokai-u.jp 教員講義用BLOG:http://akaishi.jugem.jp/ |