白梅学園 授業概要(シラバス)2010
サブタイトル 担当者 開講時間 授業形態 単位数
授業科目名 脳と心 多喜乃 亮介 前期 講義
◆授業科目の目的◆
現代は人の脳の働きに関する知識が広がり、脳が心の座として当然のように位置づけられている。脳を損傷すると、心は大きな影響を受ける。脳の発達・成長が、心の発達・成長を支えている。他の動物に比べ人は脳が大きく発達している。しかし、脳はあくまでも物質であり、脳そのものが心ではない。この授業では脳の働きの実際を学び、「脳」がどのように「心」を支えているかを考察する視点を提供する。

◆授業科目の到達目標◆
神経系の働きに関する知識を得る。
脳の構造に関する知識を得る。
脳の働きに関する知識を得る。
脳と心の関係を考察できるようになる。


◆授業の概要(テーマ)◆
第1部は脳と心の研究が始まる19世紀までの研究前史を学び、脳が心の座と考えられるようになるまでの経緯を学習する。第2部では、生命中枢としての脳機能について学ぶ。脳の基本単位となる神経機能から始まり、脳の構造と生理学を学習する。第3部は人の脳研究によって得られた知見を中心とした学習から、生命中枢である脳がどのように「心」の世界と関わっているのかを学び、両者の関係を考察していく。

◆授業計画と授業内容◆
1.心の座(ギリシア時代)
2.霊から脳へ(ルネサンス期)
3.骨相学と脳(近代の幕明け)
4.言語野の発見(脳と心の研究の始まり)
5.まとめ1 『言語と脳』
6.神経細胞と脳(ニューロン、活動電位、シナプス、伝達物質)
7.動物実験と脳(破壊実験、刺激実験)
8.生命中枢機能と脳(反射、調節、脳幹、自律神経系)
9.感覚情報と脳(1次体性感覚野、1次視覚野、1次聴覚野)
10.まとめ2  『生命と脳』
11.認識の成立と脳(知覚の成立、連合野、失認、失行)
12.感情・記憶と脳(扁桃体損傷例、海馬損傷例)
13.学習と脳(報酬系、Working Memory、睡眠と学習)
14.脳の統合的機能(前頭前野損傷例、意志決定、性格)
15.まとめ3  『意識と脳』


◆事前・事後学習のアドバイス◆
事前学習は、高校の生物の教科書に書かれている脳と神経系の内容を読み直しておく。生物を学んでいない者は、『脳の話』(時実利彦著、岩波新書)を一読しておくとよい。
事後学習としては、授業内容の復習として、専門用語、研究者名などを整理しておく。特に授業で取り上げた脳の解剖学上の名称と部位は覚えるように努める。


◆成績評価方法と評価基準◆
教場試験の成績(80%)と平常点(20%)による。なお、欠席・遅刻は一回につき2点分の減点とする。
教場試験は、専門用語、脳の機能、研究者名を問う客観試験(70%)と、「脳」と「心」の関係を事実に基づいて考察することを求める論述試験 (30%)で構成する。
平常点は、授業内での問いかけに対する応答、および「まとめ」ごとに提出を求める事後学習の成果(レポート形式)に基づいて採点する。


◆テ キ ス ト◆


◆連絡先(メールアドレス)◆
takino@shiraume.ac.jp