白梅学園 授業概要(シラバス)2010
サブタイトル 担当者 開講時間 授業形態 単位数
授業科目名 文学 久保木 壽子 前期 講義
◆授業科目の目的◆
 無文字の時代から、人びとはことばを発し、歌い、語ってきた。人びとは何を、どう表現しようとしたのだろうか。我々の文化の基層を為しているリズム感、美意識はどのようにして形成されてきたのだろうか。文字(漢字)の招来と平仮名の発明は、文学をどのように変質させたのだろうか。このような問題意識の下、日本の文学について、その始発から古典主義の確立までを理解する。

◆授業科目の到達目標◆
「文学」とは何かについて考え、その意義について理解する。
『古事記』を通じて日本の神話について考え、その特殊性を理解し、古代的な発想を知る。
『竹取物語』を通じて、書承の時代に入った時期の物語りに触れ、その主題性について理解する。
古代から日本の文学を規定してきた「韻律」の問題について理解し、その一つの達成である百人一首の世界を知る。


◆授業の概要(テーマ)◆
扱うのは、日本の古代から中世にかけての文学である。言わば、日本文学の発生期から古典主義が確立するまでの、日本人の心と表現の<発達><成長>を見ようというのである。
 下記の計画に従い、典型的場面を原文(現代語訳付き)で紹介しながら、日本人の発想の変遷・表現の変化、問題意識の変容の様を確認していく。
 神話の一部・竹取物語(かぐや姫)などは<絵本>として、百人一首は<カルタ>として、子どもたちの世界にも親しいものだが、本来の形を大人として理解しておきたい。


◆授業計画と授業内容◆
1.文学とは何か
2.ことばの発生、歌の発生  日本語の韻律(リズム) (初期万葉/記紀歌謡)
3.日本の神話1  神話とは、神話の背景(古事記序文・表記)
4.日本の神話2 古事記上巻の構造
5.日本の神話3 神話を読む
6.日本の神話4 神話を読む
7.神話から物語へ  物語とは: 羽衣伝説から竹取の物語へ
8.竹取物語の構造
9.かぐや姫の昇天  その意味と文化史的背景
10.古今集的表現の成立: 四季観の確立と日本の美意識
11.王朝の恋歌: 小野小町・和泉式部 の恋歌
12.歌と散文:『源氏物語』へ
13.王朝秀歌のアンソロジー:百人一首とは
14.百人一首の世界
15.日本の古典主義の確立


◆事前・事後学習のアドバイス◆
日本の神話やかぐや姫の話は、絵本にもなっている。ぜひ目を通しておいて欲しい。

◆成績評価方法と評価基準◆
授業への参加・貢献度、リアクションペーパー、期末レポート による総合判断。

◆テ キ ス ト◆
プリントを配付する。

◆連絡先(メールアドレス)◆
研究室:F‐224    電子メール:kuboki@shiraume.ac.jp