白梅学園 授業概要(シラバス)2010
サブタイトル 担当者 開講時間 授業形態 単位数
授業科目名 子ども文化史 首藤 美香子 前期 講義
◆授業科目の目的◆
アカデミズムの現況では、「子ども文化史」という領域が独立して存在し、確たる研究の蓄積がなされているわけではない。まさに「子ども文化史」とはこれから構築されるものであり、本授業では「児童文化」とは異なるとされる「子ども文化」の概念規定や「子ども」の視点からアプローチする「文化史」の課題や方法論を一から検討することを目的とする。

◆授業科目の到達目標◆
・「児童文化」・「子ども文化」の前提となる「近代的子ども観」の形成メカニズムの理解
・代表的な「児童文化」研究の成果の確認
・「児童文化」の視点からたどる子どもの成長発達と生活をめぐる歴史的変遷への洞察
・「子ども文化」研究・「チャイルドロア=Childlore」研究に対する批判的検証


◆授業の概要(テーマ)◆
狭義には「一般的に児童のための文化創造・文化財、文化活動・文化施設ならびに児童自身の文化的創造活動を総括した概念」、広義には「児童生活に及ぼす文化的諸影響の総和、つまり家庭・学校・社会における衣・食・住の日常生活から、教育・文化による人間形成の諸過程、社会的児童保護にわたる万般」を意味する「児童文化」の歴史をたどる。

◆授業計画と授業内容◆
1.オリエンテーション―「子ども文化史」の可能性と課題― 
2.「近代的子ども観」の発見と「児童文化」
3.1920年代における「児童文化」概念の成立とその背景
4.1930年代における「児童文化」への関心の高まりとその意味するもの
5.1940年代における「児童文化」に対する国家統制と「少国民文化」の登場
6.場敗戦後から1959年代において「児童文化」に託された人々の夢と希望
7.1960年代以降より問題視されはじめる「児童文化」の状況
8.1970年代から1980年代における新しい「児童文化」研究の成果①
9.1970年代から1980年代における新しい「児童文化」研究の成果②
10.1970年代から1980年代における新しい「児童文化」研究の成果③
11.1970年代から1980年代における新しい「児童文化」研究の成果④
12.1990年代以降における「児童文化」から「子ども文化」への転換
13.2000年代以降における「チャイルド」研究の成果
14.総括①「児童文化」からみた日本の子どもの歴史
15.総括②「子ども文化」「チャイルドロア」からみた日本の子どもの変容


◆事前・事後学習のアドバイス◆
歴史研究とは、過去の事象を寄せ集め、時間軸に並べればできるような単純なものではない。たとえば現代の社会・文化状況に対するオリジナルな問題意識と幅広い洞察力があってこそ、歴史を読み解く力は磨かれるのではないだろうか。単に教養や趣味のひとつとして歴史を学びたいのか、「子ども学」を構成する一分野としての歴史研究の基礎を学びたいのか、受講の目的を明確して、課題に取り組んでほしい。

◆成績評価方法と評価基準◆
出席率と受講態度、小レポートと定期試験から総合的に評価

◆テ キ ス ト◆
適宜紹介する

◆連絡先(メールアドレス)◆