白梅学園 授業概要(シラバス)2007
授業科目名 生と死を考える 死を考えることは生きることを学ぶこと
担 当 者 高尾 公矢 開講時期 前期
授業形態 講義
単 位 数
◆授業のねらい及び学習教育目標
 身近な人の死。必ず訪れる自分の死。死を考えることは生きることを考えることでもある。ひとつとして同じではない人の死。この授業では、死を通して生きることの意味を問う。

◆授 業 計 画
 この世に生を享けたすべてのものにとって、死はさけることができない現実である。死をしっかり見つめて考えるためには、死をどう捉え、どう理解したらよいか。これを探求するのがA.デ-ケン教授が提唱する生死学である。「死の教育」「死の備え」の大切さは浸透しつつあるが、それは死を間近に迎えた人にとってのみ必要なのではなく、その周辺の人々にとっても大切なことである。それは暗くて望みのない虚しいことに対する知識や準備ではなく、むしろ大きな恵みと祝福とを与えることになると考える。「死への準備教育」は自分に戴いた生命を、いかに最後までよりよく生きぬくかを考える、いわばライフワ-クにほかならない。授業は以下のとおり進める。

第1回 生死学とは何か
第2回 遺される者の悲しみ-悲嘆のプロセス
第3回 悲嘆教育の必要性
第4回 死へのプロセスに対する理解
第5回 死への恐怖と不安への対応
第6回 生命への脅威-自殺を予防するには
第7回 生命の終わり方-尊厳死・安楽死
第8回 臓器移植の考え方
第9回 ゆうもあ教育のすすめ
第10回 死後への考察-哲学・宗教の立場
第11回 「死への準備教育」-幼児から青少年のために
第12回 「死への準備教育」-大学生・中高年に向けて
第13回 海外の「死への準備教育」の事例-ドイツ・アメリカ・イギリス
第14回 海外の「死への準備教育」の事例-オ-ストラリア・スウェ-デン
第15回 生涯教育のなかでの「生と死」のとらえ直し


◆成 績 評 価
 出席(40%)と授業内レポ-ト(20%)と試験(40%)の総合評価

◆テ キ ス ト
 アルフォンス・デ-ケン『生と死の教育』岩波書店、2001年

◆参 考 書
 授業内で紹介します

◆担当教員から一言
 死は「なかったことにする」ことはできないのです。回復が不可能なのです。私たちは日常生活を送っていると感じないだけで、実は人生のあらゆる行為は取り返しがつかないのです。そのことを死は教えてくれるのです。