白梅学園 授業概要(シラバス)2007
授業科目名 人物研究演習 有島武郎
担 当 者 髙原 二郎 開講時期 後期
授業形態 演習
単 位 数
◆授業のねらい及び学習教育目標
 資産家で大農場主の家柄の長男。大正天皇の学友ともなった上流選良社会の人。その農場を小作人に無償で解放し、大正の良心とまで称揚されて、働く人や女性や教育者たちの信望を一身に集め、近現代の文学者中群を抜いて鋭く社会のゆがみをつき出し批判しながら、自殺(心中)という形で挫折してしまった作家、思想家。下記授業計画はその有島武郎の活動の中から拾い出した項目ですが、どの1つをとり出しても、ただ今現在の私たちの生き方にぶつかってきます。生き方の勉強、これが目標です。

◆授 業 計 画
 =グループによる各項目の調査検討、報告発表と全体討議
序論 = 精神形成論 ― 武郎入門 ―(3回)
1、国家と戦争と人間とは? ― 世界史の中の国家の姿も考えてみよう ―
2、資本主義と社会主義と無政府主義とは? ― 切れることとつながること ―
3、理想の国とは? ― クロポトキンの「相互扶助」と「中世自由都市」―
4、自然と人間の関係とは? ― もともと人間は? ―『カインの末裔』―
5、都会と人間の関係とは? ― 人間が都会化されてゆく? ―『生れ出づる悩み』―
6、科学と人間の関係とは? ― 研究は何でも自由か? ―『実験室』―
7、子どもの教育とは? ― 子どもの尊厳はどこから? ―『一房の葡萄』『小さき者へ』―
8、女性の独立と結婚とは? ―『或る女』に挑戦!
9、「愛」とは,ヒューマニズムとは? ―『惜しみなく愛は奪う』に挑戦!
10、良心を誠実に生きる、とは? ― 農場解放と「宣言一つ」と死。
11、「自由」とは? ― おしまいの大問題 ―「自由は与えられず」―
整理(1回)


◆成 績 評 価
 授業参加と発表と試験またはレポート。

◆テ キ ス ト
 特に用意しないが、筑摩書房版他『有島武郎全集』等を中心に指示します。

◆参 考 書
 栗田広美著『死と飛躍・有島武郎の青春』『亡命・有島武郎のアメリカ』右文書院刊
 高原二郎著『人と作品・有島武郎』清水書院刊


◆担当教員から一言
 自分たちの問題にひきつけて、自由な発想の話し合いを期待します。
 作品は必読指示の物は全員読むようにします。