白梅学園 授業概要(シラバス)2007 |
授業科目名 | 文化と人間演習 | 時代潮流と知識人 | |
担 当 者 | 髙原 二郎 | 開講時期 | 後期 |
授業形態 | 演習 | ||
単 位 数 | 1 | ||
◆授業のねらい及び学習教育目標 西欧型文明後発国の日本がなりふりかまわず近代化を推し進めてたくさんの課題を生み出した明治。近代化を成長させてたくさんの課題も成長させた大正。矛盾亀裂のはざまから噴き上げる巨大事件。ここでは時代潮流を象徴する2つの事件を支点に据えて、言語文化を測る目安ともなる文学の側から、私たち人間の在り方に迫る。 具体的には、日韓併合・大逆事件(明43)と、関東大震火災・甘粕事件(大12)とを据え、前後若干補うこととして、この間の文学者、知識人の活動に分け入る。中でも、自殺してしまった作家、社会的圧迫のゆえに死に追い込まれた作家などに着目し、なぜそうなるのか、そのことが私たちにどのように関わるのか、考えよう。私たちが「今」を背負って生きてゆく「姿勢」を「考える」時間にしたい。 なお結果として、明治中期から昭和初年代くらいまでの近現代文学史を「少し掘り下げて」学ぶことになれば、良い副産物かと欲張っている。 ◆授 業 計 画 =グループによる調査と報告、討議。 序論及び前史(3) 1、日韓併合と大逆事件(3) (イ)日韓併合のいきさつとねらい。 (ロ)大逆事件のいきさつと取り締りのねらい。 (ハ)石川啄木の文学活動と大逆事件、『一握の砂』『時代閉塞の現状』と死。 2、明治43年から大正5年前後(3) (イ)第1次世界大戦参戦のねらいとその前後の政治、外交、社会状況。 (ロ)夏目漱石の『心』と死。 (ハ)芥川龍之介の『鼻』『地獄変』と芸術至上主義。 3、関東大震災まで(4) (イ)政治・外交、大正デモクラシー、ロシア革命、米騒動、労働運動。 (ロ)有島武郎の作家活動と「宣言一つ」。農場解放と自殺。 (ハ)大杉栄虐殺(甘粕事件)、亀戸事件、朝鮮人虐殺。 4、昭和へ ―労働運動と文学― 治安維持法、芥川龍之介自殺、小林多喜二虐殺(1) 5、整理(1) ◆成 績 評 価 授業参加と試験またはレポート。 ◆テ キ ス ト 特に用意しません。 ◆参 考 書 展開に応じて指示します。 ◆担当教員から一言 自分の調査報告と他の人の調査報告とがどのように噛み合ってゆくのか、そこが大切です。 |