白梅学園 授業概要(シラバス)2007 |
授業科目名 | 現代の経済と人間 | 消費社会の歴史と現在 | |
担 当 者 | 大岡 聡 | 開講時期 | 前期 |
授業形態 | 講義 | ||
単 位 数 | 2 | ||
◆授業のねらい及び学習教育目標 「豊かな」社会に住む私たちは、もっとおいしいものを食べたい、他人からカワイイと見られる服を着たい、広い快適な家に住みたい、休みの日にはレジャーを楽しみたい……などなど、モノやサービスの消費に強い関心をもち、日々そうした欲望を追い求めています。しかし歴史をふり返るなら、そうした志向が一般化・大衆化した社会=「消費社会」が誕生したのはそう古いことではありません。20世紀の経済発展は消費社会を作り出しましたが、同時に、現代の経済は消費社会がなくては成り立たたなくなっています。もっとも、より「豊かな」暮らしをしたい……と、人びとが欲望を高めつづけていった結果、地球上には大きな貧富の格差が生まれ、自然環境に深刻なダメージを与え、地球の持続可能性を脅かしています。 消費社会としての現代をどう考えたらいいのか、私たちの将来、さらには次の世代の未来のために、私たちは何を考えなくてはいけないのか…。こうしたことを自分の頭で考え、行動するための基礎的教養を身につけること。これがこの講義の目標です。 本講義では、まず、日本における消費社会の形成過程(消費社会化の歴史)をたどることで、現代の消費社会を相対化する歴史的視点の獲得を目指します。それに続き現代の消費社会の特徴や問題点をグローバルな視点から考察し、消費社会の今後を展望します。 ◆授 業 計 画 いまのところ以下のような内容で講義を進めるつもりであるが、内容の変更があり得る。 第一部 日本における消費社会の形成 (1)リサイクル社会としての江戸 (2)百貨店の誕生①―小売業の革新 (3)百貨店の誕生②―消費社会の演出者 (4)近代家族と文化生活―消費の主体 (5)美と健康―消費と身体 (6)戦争と消費生活 (7)高度成長と消費社会の確立 第二部 現代経済と消費社会の現在 (1)消費社会と現代経済 (2)消費社会の理論 (3)消費社会の人間像 (4)消費社会と地球―南北問題と環境問題 (5)スローライフ―脱物質主義的価値観 (6)まとめにかえて ◆成 績 評 価 レポートによる。 ◆テ キ ス ト レジュメを使用。 ◆参 考 書 とりあえず山本・西沢編『百貨店の文化史』(世界思想社)、間々田孝夫『消費社会論』(有斐閣)、上野千鶴子『私探しゲーム』(筑摩書房)、見田宗介『現代社会の理論』(岩波新書)、大平健『豊かさの精神病理』(岩波新書)、辻信一『スロー・イズ・ビューティフル―遅さとしての文化』(平凡社ライブラリー)、エリック・シュローサー『ファーストフードが世界を食い尽くす』(草思社)、島村菜津『スローフードな人生』(新潮社)をあげておくが、そのほかは講義中に紹介する。 ◆担当教員から一言 ○毎回配付の資料のほか、視聴覚教材などもできるだけ用いたいと思います。また一方通行にならないように、毎回感想や質問をカードに書いて貰うことにし、次回の講義の最初でそれを紹介するつもりです。 ○「経済学」の講義ではありませんが、暮らしと経済、人間と経済を考えるきっかけになれば…と思います。 |