白梅学園 授業概要(シラバス)2007 |
授業科目名 | 心理学入門 | ||
担 当 者 | 多喜乃亮介 | 開講時期 | 前期 |
授業形態 | 講義 | ||
単 位 数 | 2 | ||
◆授業のねらい及び学習教育目標 「心」や「意識」については、人類の誕生から現代に至るまでさまざまな考え方が出されてきた。しかし、学問領域としての「心理学」の歴史は長くない。ヴントの心理学実験室がライプチヒ大学で公認されてからまだ100年と少々の時間しか経過していない。にもかかわらず、対象が「心」という主観的な経験のために一つの方法論ですべてを満たすことはできず、さまざまな試みが積み重ねられている。また、人に関する研究領域としては、近接する哲学や医学・生理学領域の影響が大きく、更に教育、工学、あるいはスポーツ科学といった人が関わる様々な分野で「心理学」が扱われるようになっている。そのために「心理学」を学ぶことは分野ごとの断片的な知識や話題の学習が中心となってしまい、全体像がはっきりしなくなる可能性が出てきている。そこで、この授業では学習する項目を基本的なものに絞り、心理学の基盤となる考え方とそれを支える方法論に焦点を当てて学習を進め、各論の学習に入った段階で扱われるテーマが、心理学のどこに位置づけられるものか理解できるようになる土台作りとなることを目標とする。 ◆授 業 計 画 主に科学的研究と言われる実証主義的方法論を用いた心理学研究の成果について解説を行う。遺伝的基盤を持ちながらも、種々の経験によって多様な個性を持つことになる心の基盤について学んでいく。 1.歴史: 心理学の始まり、心理学とは何か 2.動機づけ1: 基本的動機、感覚・接触への要求 3.動機づけ2: 好奇動機、達成動機、社会的動機 4.知覚1: 感覚経験と知覚の成立 5.知覚2: 知覚学習、文脈効果、トップダウン処理 6.発達1: 初期経験、認知発達 7.発達2: 子育て行動と子どもの育ち 8.学習1: 学習の基本、条件づけ、観察学習、洞察 9.学習2: 脳から見た学習(条件情動反応、報酬系、記憶) 10.学習3: 学習の応用(教育、心理臨床、コーチングなど) 11.感情・情動1:基本的感情、情動と身体表出、表情、共感性 12.感情・情動2:情動の成立基盤、感情と知性 13.性格1: 類型論と特性論、遺伝的基盤と経験による影響 14.社会的行動: 同調行動、利他的行動、集団、態度 15.まとめ ◆成 績 評 価 平常点および試験点 ◆テ キ ス ト 「心理学 ―心のはたらきを知る―」(梅本堯夫・大山 正・岡本浩一 著、サイエンス社、1999年) ◆参 考 書 「心理学」(無藤 隆・森 敏昭・遠藤由美・玉瀬耕治 著、有斐閣、2004年) ◆担当教員から一言 少し視野を広く持って、私たちの「心」の成立基盤について考えてみよう |