白梅学園 授業概要(シラバス)2006
授業科目名 形態別介護技術
担 当 者 森山 千賀子・立花 明彦・奥田 啓子
武田 嘉郎・藤尾 静枝
開講時期 前後期
授業形態 演習
単 位 数
◆授業のねらい及び学習教育目標
 森山=「老人」、立花=「視覚障害」、奥田=「聴覚障害」、武田=「肢体不自由」、藤尾=「精神障害・内部障害」の5人で受け持つ
【森山】高齢者介護の基本理念と介護方法の基本を理解する
【立花】視覚障害といっても、その程度、原因、障害発生時期および今後の進行予測など、個人によってさまざまであり、それがもたらす日常生活への影響も異なる。加えて、近年は高齢で視覚障害となる人が増加しており、視覚障害をもつ人々の状況は多様化している。このため、視覚障害者の援助にあたっては、一人一人の状態を正しく理解し、適切な介護をすることが求められる。
 本講義は、そのための基本的な知識・技能の習得を目標とする。合わせて、適切な介護ができるような心構えを養う。
【奥田】1.聴覚・言語障害に関する医学的基礎知識を習得する。
2.手話等、音声言語に代わる聴覚・言語障害者のコミュニケーション方法を理解し基礎を習得する。
3.聴覚・言語障害に対応する福祉制度・福祉機器の活用について学ぶとともに、聴覚・言語障害者の生活・心理に配慮した支援のあり方について考える。
4.ろう重複障害者に対する援助・介護について考える。
【武田】身体の障害(肢体不自由)の介護について学びながら、介護とは何か、クライエントと介護者の関係はいかにあるべきかなどを学ぶ。
【藤尾】1.精神障害者の疾病と障害の特徴や、生活・社会復帰の現状を正しく理解し、障害を持ちながらも普通の暮らしができるよう、本質的な介護や、支援のあり方を学ぶ
2.内部障害者の各疾病と障害の特徴を、医学や看護一般と関連させながら理解する。日常生活にどのような障害が起き、制約された日々を送っているのか、医療の受け方や療養方法などを、ビデオ・資料などで知る。また、医療との連携の必要性を理解し、援助の方法を学ぶ


◆授 業 計 画
【森山】前期課程で、2講時続きの授業が行われる予定である。前半は第Ⅰ期目の実習を視野に入れながら、様々な疾病や傷害をもつ高齢者の特性や援助の基本を学び、後半では、実習での学び等を生かしながら、より具体的な介護の方法や援助者の役割についての、理解を深めるような内容にして行きたい。
1.高齢者介護を取り巻く環境と社会の変化
2.高齢者介護の基礎―高齢者の生活と特性
3.虚弱な高齢者・一人暮らしの高齢者・高齢者世帯への援助
4.寝たきり高齢者の理解と介護
5.認知症高齢者の理解と介護
6.在宅高齢者の理解と介護
7.ロールプレー~様々な疾病や障害・環境をもつ高齢者の事例をもとに、グループで役割演技を行い、
  介護の方法や援助者の役割について学ぶ。
8.まとめ
【立花】
1.視覚障害に関連する医学的知識、視覚障害の原因となる疾病、保有感覚の活用などの基礎的な知識の
  学習
2.身体障害児者実態調査を参考資料としての視覚障害児者の統計的動向の理解
3.点字に関する知識の概要理解、点字の五十音の学習
4.視覚障害者の教育制度とその内容、視覚障害者と職業についての理解
5.点字の読み方Ⅰ
6.視覚障害者への福祉制度の理解、点字の読み方Ⅱ
7.中途視覚障害者のリハビリテーション内容についての理解、点字の読み方Ⅲ
8.点字の書き方Ⅰ
9.点字の書き方Ⅱ
10.視覚障害者とバリアフリー、ユニバーサルデザインについての理解
11.点字の書き方Ⅲ
12.点字の書き方Ⅳ
13.まとめ
【奥田】
1.聴覚障害とは・・講義全体の概要 ・聴覚・言語障害者とコミュニケーション
2.聴覚障害の原因と難聴の分類 ・聞こえのしくみ
3.聴力測定の方法 ・人工内耳について ・新生児の聴覚スクリーニング検査の進展と課題
4.残存感覚器官を活用するための福祉機器と福祉サービス
5.聴覚・言語障害者と社会生活・・・ビデオ教材・4つのバリア
6.手話実技(挨拶・指文字・名前の表現)
7.手話実技(数字・住所・家族の表現)
8.手話実技(仕事・趣味の表現)
9.自己紹介の発表
10.ろう重複障害者の生活とコミュニケーションの実際(ビデオ教材)
11.高齢ろう者の生活とケアのあり方(ビデオ教材)・言語障害について
12.聴覚・言語障害者の多様な状況に合わせた支援のあり方について考える。  
・聴覚障害者に対応する心理臨床領域の取り組み 
・社会・文化的視点からの「ろう者」理解
13.まとめ
【武田】
1.障害者と障害について考える
2.障害のある人と社会
3.脳性マヒ・筋ジストロフィー
4.リウマチ・脳卒中
5.高次脳機能障害・脊髄損傷
6.グループホームに住みNPO副理事長の重度脳性マヒの事例
7.まとめ
【藤尾】テキストや当事者の方々の話やビデオ・参考資料などを講義に活用し、現実的な理解を深めたい。随時レポートを提出し、学生個人の認識を深める。
1.精神障害ってどんな障害? 疾病と障害の特徴
2.精神障害者施策と課題
3.地域での自立生活① 医療・保健福祉の利用 
4.地域での自立生活② デイケア・共同作業所・ショートステイなど 
5.ホームヘルプ制度と利用の実際 日常生活を支える
6.地域生活を支えるネットワークづくり
7.まとめ 事例を通して考える① 統合失調症
8.まとめ 事例を通して考える② 気分障害など

1.内部障害の概要 ひき起こす主な疾患・障害
2.心臓機能障害者への介護
3.腎臓機能障害者への介護
4.呼吸機能障害者への介護
5.膀胱・直腸機能障害者への介護
6.演習
7.まとめ
    別日レポートもしくは試験 


◆成 績 評 価
【森山】筆記試験、レポート、平常点による総合評価
【立花】出席状況、平常点(学習態度)、筆記試験
【奥田】筆記試験と平常点(出席状況・手話実技等)によって評価する。
【武田】出席・平常態度・筆記試験による総合評価
【藤尾】期末テスト成績、課題レポートの提出を参考に行なう


◆テ キ ス ト
【森山】介護福祉士養成講座14 『形態別介護技術』中央法規
【立花】改訂新版・視覚障害者の介護技術 ―介護福祉士のために―、点訳のしおり
【奥田】『手にことばを』 (初級用)   社団法人 東京都聴覚障害者連盟
【武田】プリント等々を用意します。
【藤尾】形態別介護技術 中央法規出版


◆参 考 書
授業の中で随時紹介する
【藤尾】(財)全国精神障害者家族連合会出版の小冊子2冊
1.統合失調症を知る心理教育テキスト家族版じょうずな対処・今日から明日へ~病気・くすり・くらし~ 定価600円 
2.統合失調症をしる心理教育テキスト当事者版焦らず・のんびり・ゆっくりと~病気・くすり・くらし~定価400円


◆担当教員から一言
【森山】各教科の特性と連動性を整理しながら、各々の授業に臨んでください。
【立花】単に聞くだけではなく、考えようとする姿勢・態度が求められる授業です。あなた方の視覚障害者への眼がきっと変わることでしょう。
【奥田】聴覚・言語障害の障害特性は、コミュニケーション障害であると言われます。対人援助の専門職を目指す皆さんに、講義を通してコミュニケーションの重要性を身を持って学んで欲しいと願っています。
【武田】一方的な講義にならないよう心がけたいと思います。授業中の積極的な発言(疑問・質問何でもかまいません)を歓迎します。
【藤尾】実際に人々(精神障害者・家族会・関係機関の支援者など)との出会いや経験を持ち、同時に理論を学びながら支援のポイントを体得するような積み重ねが大切。