白梅学園 授業概要(シラバス)2005
授業科目名 形態別介護技術  
担 当 者 森山千賀子・奥田 啓子・立花 明彦・
落海 文子・藤井 京子
開講時期 前後期
授業形態 演習
単 位 数
◆授業のねらい及び学習教育目標
それぞれの担当は次の通り
森山=老人、奥田=聴覚・言語障害、立花=視覚障害、落海=肢体不自由・内部障害、藤井=精神障害

《森山》高齢者介護の基本理念と介護方法の基本を理解する
《奥田》
1.聴覚・言語障害に関する医学的基礎知識を習得する。
2.手話等、音声言語に代わる聴覚障害者のコミュニケーション方法について理解し習得をめざす。
3.聴覚・言語障害に対応する福祉制度・福祉機器の活用について学ぶとともに、聴覚・言語障害者の生活・心理に配慮した介護のあり方について考える。
4.ろう重複障害者に対する援助・介護について考える。
《立花》 視覚障害といっても、その程度、原因、障害発生時期および今後の進行予測など、個人によってさまざまであり、それがもたらす日常生活への影響も異なる。加えて、近年は高齢で視覚障害となる人が増加しており、視覚障害をもつ人々の状況は多様化している。このため、視覚障害者の援助に当たっては一人一人の状態を正しく理解し、適切な介護をすることが求められる。
 本講義は、そのための基本的な知識・技能の習得を目標とする。合わせて、適切な介護ができるような心構えを養う。
《落海》どのような原因で生じた、どのような障害を持つ利用者であるかを理解できる医学的知識、障害により起こる生活上の不自由さ、心理的葛藤などを学び、利用者にあった援助方法を実践できる能力を養う。また当事者と話し合える機会を持つことにより障害者に対する偏見の払拭をねらう。
《藤井》精神障害についての理解を深める。地域生活をすすめるための考え方と具体的な方法について学習する。特に働くこと、住まい、ホームヘルプについて制度の概要と実践について学ぶ。


◆授 業 計 画
《森山》前期課程で、2講時続きの授業が8回行われる予定である。前半は第I期の実習を視野に入れながら、様々な疾患や障害をもつ高齢者の特性や援助の基本を学び、後半では、実習での学び等を生かしながら、より具体的な介護の方法や援助者の役割についての理解を深めるような内容にして行きたい。
1.高齢者介護を取り巻く環境と社会の変化
2.高齢者介護の基礎ー高齢者の生活と特性
3.虚弱な高齢者・1人暮らしの高齢者・高齢者世帯への援助
4.寝たきり高齢者の理解と介護
5.認知症高齢者の理解と介護
6.在宅高齢者の理解と介護
7.ロールプレー~様々な疾患や障害・環境をもつ高齢者の事例をもとに、グループで役割演技を行い、介護の方法や援助者の役割について学ぶ。
《奥田》毎回の講義は、基礎的な手話実技の習得と平行させて進めていく。
*講義
1.聴覚・言語障害者の日常生活とコミュニケーション
2.聞こえのしくみと難聴の原因・人工内耳について
3.言語障害について
4.残存感覚機能を活用するための福祉機器について
5.聴覚・言語障害者と社会生活上のバリア
6.ろう重複障害者・高齢ろう者の生活(ビデオ教材を使用)
7.多様な聴覚・言語障害者の状況に配慮した介護のあり方について考える。
*手話実技
1.手話の基礎単語
2.指文字・数字の表現
3.自己紹介の表現
4.疑問文と簡単な日常会話
5.介護場面で想定される会話の表現練習
《立花》
(1)視覚障害に関係する医学的知識、保有感覚の活用など視覚障害を理解するための基礎的な知識の学習。
(2)実態調査をもとにした視覚障害者の統計的動向の理解。
(3)視覚障害者の教育、福祉、職業、リハビリテーション、ユニバーサルデザインの現状についての学習。
(4)コミュニケーションとしての基本的な点字の読み書きの学習。
《落海》15回の授業を予定し、うち9回を肢体不自由、5回を内部障害に当て、最後の1回でまとめを行う。肢体不自由では運動機能障害の特徴をビデオなどを盛り込んでしっかり捉えられるようにする。特に脳・脊髄などの神経系では運動機能障害以外に重複して起こる感覚・精神・言語・内臓の障害では医学的知識と援助の実際を関連づけながら進めていく。障害により生じたADLの不自由を知り、福祉用具の活用や住環境の整備がADLの拡大を促すことを資料・ビデオ・当事者の語りから学ぶ。同時に障害受容についても学びを深める。内部障害では各臓器の解剖生理と病気の理解を医学一般と関連させながら押さえ、病気により日常生活にどのような障害が起き、どのように制約された日々を送っているのか、どの程度、医療の必要度があるのか等をビデオ・資料・闘病記で知り、医療との連携の必要性が理解でき、援助の方法が学べるようにする。
肢1回  運動機能障害の症状と主な疾患・障害について
肢2回  脳卒中の障害のある人への介護(運動機能障害など)
肢3回  同上           (高次脳機能障害)
肢4回  脊髄損傷のある人への介護(当事者から現在の生活について語ってもらう)
肢5回  脊髄損傷の介護のまとめ、脳性麻痺のある人への介護
肢6回  パーキンソン病のある人への介護
肢7回  関節リウマチのある人への介護
肢8回  骨折、骨粗鬆症のある人への介護
肢9回  筋ジストロフィー、四肢欠損・切断の人への介護
内1回  内部障害の概要、ひき起こす主な疾患・障害   内2回   心臓機能障害者への介護
内3回  腎機能障害者への介護             内4回   呼吸機能障害者への介護
内5回  膀胱・直腸機能障害者への介護
15回  ま  と  め
《藤井》
1.「精神障害」ってどんな障害?
2.精神障害者施策のあゆみと現状
3.働くことの意味と共同作業所
4.住まいと地域での自立生活
5.ホームヘルプ制度の概要と利用の実際
6.地域生活を支えるネットワークづくり
7.まとめ
7回の授業を予定し、7回目「まとめ」の授業をレポート作成にあてる。
精神障害について理解を深めるために、ビデオ・テープの活用や当事者の話を聞く機会をもつ予定。


◆成 績 評 価
《森山》筆記試験、レポート、正常点による総合評価
《奥田》平常点(出席状況・手話実技等)と筆記試験によって評価
《立花》出席状況、平常点(学習態度)、筆記試験
《落海》平常点、レポート、筆記試験にて評価する。
《藤井》レポートで評価


◆テ キ ス ト
《森山》介護福祉士選書16  『形態別介護技術ー老人編』 建帛社
《奥田》『手にことばを』(初級用)  東京都聴覚障害者連盟 発行
《立花》改訂新版・視覚障害者の介護技術――介護福祉士のために――、点訳のしおり
《落海》形態別介護技術(中央法規出版KK)
《藤井》プリント活用


◆参 考 書
《森山》授業で紹介する
《奥田》講義の中で随時紹介する。
《立花》必要に応じてその都度紹介する。
《落海》参考書、資料、ビデオなどは講義の中で紹介する。
《藤井》授業内で紹介


◆担当教員から一言
《立花》単に聞くだけではなく、考えようとする姿勢・態度が求められる授業です。
《落海》授業の前に事前学習をしておくと理解の幅が拡がります。