白梅学園 授業概要(シラバス)2005 |
授業科目名 | 源氏物語の世界 |   | |
担 当 者 | 久保木壽子 | 開講時期 | 後期 |
授業形態 | 講義 | ||
単 位 数 | 2 | ||
◆授業のねらい及び学習教育目標 日本文化の真髄を表すものとして、源氏物語はいまや世界の人々に読まれている。1000年の昔の作品ながら、現代に通じる問題が豊かに形象されているからであろう。一体、何がこの作品の魅力なのだろうか。絵巻や漫画・ビデオなどを使いながら作品構造を読み解き、制約の多い社会で、<どう生きるか>に苦闘する男女の姿を中心に見ていく。『源氏物語』が、“すごい”ことを知ってほしい。 ◆授 業 計 画 1,紫式部とその時代について 何故、紫式部は源氏物語を書いたのだろう?作者の生涯と人物像を、その歌集と日記によって見ておく。また物語が書かれた時代の特徴にも簡単に触れたい。 2,全54帖の全体構造を知る。 授業で読み通す訳にはいかないが、そのスケールと主題について、概容を理解したい。 3,様々な男女の結びつきについて考える。 光源氏は、葵の上と政略結婚・若紫を略奪の上結婚・藤壺(父帝の寵妃)を強姦と、現代社会で言えば、正真正銘の犯罪者である。一夫多妻制のもとで、彼に対した女たちは何を考え、どう生きようとしていたか。 4,忍従と自立をめぐる問題について考える。 身分差・結婚制度の制約の中で、多くの女たちが忍従し妥協していく。一方、自分らしく生きたいと願う女たちは、苦闘の末破れていく。 ① 明石の君・②紫の上・③女三の宮 を中心に、それぞれの人物像を探っていく。 5,権力構造をめぐる問題について考える。 恋愛沙汰に隠されているが、この作品は、光源氏が「天皇のようなそうでもないような」地位に上り詰めるまでの、熾烈な権力争いの要素を持つ。上り詰めた後の、無惨な光源氏の衰退までを書いてしまったのだが。人間にとって、何が重要なことなのか、作品の主張に耳を傾けたい。 6,物語のリアリティについて考える。 言うまでもなく『源氏物語』は平安時代に作られたフィクションであるが、光源氏を実在の人と思っている人が結構いる。何故だろうか。作品に、きわめてリアリティがあることが一因であろう。虚構された時代設定、モデルとされる人物、作品の舞台の虚実などについて考える。 7,物語表現の美しさについて考える。 8,源氏物語の古代性と現代性について考える。 ◆成 績 評 価 出席と、毎回のメモを重視。それと定期試験時のレポートによる。 ◆テ キ ス ト プリントを配布 ◆参 考 書 授業時に指示 ◆担当教員から一言   |