白梅学園 授業概要(シラバス)2005
授業科目名 基礎ゼミナール 絵本から読む現代
担 当 者 久保木寿子 開講時期 前後期
授業形態 演習
単 位 数
◆授業のねらい及び学習教育目標
 基礎ゼミの共通テーマである”今わたしたちはどういう時代に生きているのか”について、現代絵本を切り口に考えていく。子どもを主とするとは言え絵本の読者層は拡大し、扱われるテーマも多種多様になってきている。殊に1990年代以降、「絵本」は変質してきているのではなかろうか(それはあなた達の成育史とピッタリ重なり合う時期でもある)。
 今、「絵本」は、誰に何を伝えようとしているのだろうか。手にとって見る中から、広く今日的な課題を掬い上げ、その背景を成す現代社会の実情に迫ってみたい。同時にそれが、自らの「絵本観」を形成する契機になることを期待したい。


◆授 業 計 画
前期 
(1) 学習の前提:文学・絵本が時代状況を反映するものであることの確認。
  出発点での、それぞれの「絵本観」を確認しあう。
(2) 通行の「絵本観」を知る。
(3) いろいろな「今日的課題」を抱えた絵本の存在を知る。→→調査・整理・発表
  対象・主題・趣向の拡大→→暴力・人身売買・虐待・自然破壊・公害・戦争・差別(人種・民族)・ジェンダー・いじめ・孤立・生と死・別れ・・ 等など。
  実地に絵本にさわり、できるだけ沢山読んでみる。
(4) ゼミの“研究テーマ”を絞り込む。:(3)に基づき、現代絵本の抱えている多様な課題を洗い出し、そこからゼミの研究テーマをいくつかに絞り込む。

 後期
(5) 前期に絞り込んだテーマについて、「現代性」を明確にする。
(6) グループ作業による現代絵本の“成立の背景”の徹底調査。
  調査の目的と方法の確認。調査結果の報告。報告に基づく集団討議。討議後の再調査。
(7) 現代絵本をどう位置づけるか。通行「絵本観」との突き合わせ。
  あるべき絵本の形から、あるべき現実への見通しと問題点について考える。
付)商業主義・情報化社会の中での絵本について考える。


◆成 績 評 価
 出席、討議・調査研究・まとめと報告などへの積極的参加を重視。

◆テ キ ス ト
 配布プリント・各種絵本・新聞記事など。

◆参 考 書
 前期:河原和枝『子ども観の近代』、松居直『絵本とは何か』、上野瞭『われらの時代のピーターパン』、本田和子『子ども100年のエポック』など。後期はテーマ決定後に呈示。

◆担当教員から一言
 主体的に学び、学ぶ楽しさを知って欲しい。