白梅学園 授業概要(シラバス)2005
授業科目名 心理学入門  
担 当 者 多喜乃亮介 開講時期 前期
授業形態 講義
単 位 数
◆授業のねらい及び学習教育目標
 多様な広がりも持つ心理学を理解するために、その基盤となっている考え方と方法論について学習する

◆授 業 計 画
 「心」や「意識」については、人類の誕生から現代に至るまでさまざまな考え方が出されてきたが、学問領域としての「心理学」の歴史は長くない。ヴントの心理学実験室がライプチヒ大学で公認されてからまだ100年と少々の時間しか経過していない。しかし、対象が「心」という主観的な経験のために特定の方法論が確立しているとは言えず、さまざまな試みが積み重ねられてきた。また、人に関する研究領域なだけに、近接する哲学や医学・生理学部門の影響は大きく、現代では教育から工学、あるいはスポーツ科学といった、人が関わる様々な分野で「心理学」が語られている。そのために、「心理学」を学ぶときに、断片的な知識や話題が中心になってしまい、その全体像が一向に見えてこないといった状況が生まれる可能性がある。そこで、この授業では学習する項目を基本的なものに絞り、心理学の基盤となる考え方とそれを支える方法論に焦点を当てて学習を進め、将来の心理学各論の学習に入ったときに、そこで扱われているテーマが心理学の中のどこに位置づけられるのかを理解できる基盤作りとなる学習になることを目指す。主に科学的と言われる実証主義的方法論による心理学研究の成果について解説を行い、その可能性と制約について学んでいくことになる。

以下の項目について講義を進める
・歴史:   心理学の始まりについて
・基本的欲求:生きること、生活することについて
・発達:   成長し、育つことについて
・知覚:   感覚から知覚経験の成立過程について
・学習:   経験によって身につけることについて
・情動:   気持ちの高ぶりや感情表出について
・性格:   さまざまな人格、気質、傾向について


◆成 績 評 価
 出席および授業中の提出物30%,試験の成績70%

◆テ キ ス ト
 「心理学 ―心のはたらきを知る―」(梅本堯夫・大山 正・岡本浩一 著, サイエンス社, 1999年)

◆参 考 書
 「心理学」(無藤 隆・森 敏昭・遠藤由美・玉瀬耕治 著、有斐閣、2004年)

◆担当教員から一言
 「自己理解」といった個人的な世界に入る前に、少し視野を広く持って、私たち「人間の心」がどのようなことに支えられて成立しているのかを考えてみませんか。