白梅学園 授業概要(シラバス)2005 |
授業科目名 | ヒューマニズム論 |   | |
担 当 者 | 栗田 廣美 | 開講時期 | 前期 |
授業形態 | 講義 | ||
単 位 数 | 2 | ||
◆授業のねらい及び学習教育目標 「ヒューマニズム」とは、「人間の価値を第一と考え、人間が最高で人間性こそ尊重すべきものだとする、態度・思想傾向・世界観」のことだと、説明されている(『岩波国語辞典・第4版』)。 そして、この「ヒューマニズム」──「人間を愛し、人間の価値を最高度に実現しようとするヒューマニズムの精神」を、白梅学園は「建学の理念」としている(『学生便覧』等)。 しかし、なぜ「人間の価値」が「第一」なのだろう。なぜ「人間性こそ尊重すべき」なのだろう。なぜ「人間を大切にすべき」なのだろう。言い方を換えれば、なぜ、「ヒューマニズム」は「正しい」のだろう。──「人間を大切にするのはアタリマエだ」では、「自分の思想」にも「学問」にもならない。 「人間中心主義」こそが地球を危機に陥れた、とさえ言われている現在、「ヒューマニズム」は、本当に「人間の支え」になりうるのか。つまり、「現代におけるヒューマニズム」は可能なのか。「ヒューマニズムの精神=建学の理念」も、自由な立場で検証されなければならない。 本講では、このような「問いかけ」を大切にして、有島武郎等の「実例」にも触れながら、「近代以後の人間のあり方」を考えることを出発点に、現在、何によって人間が圧迫されているか、何に抗って「人間を大切にする」のか、という問題に迫っていきたいと思っている(たぶん「明瞭な結論」は出ないだろうが)。──大学生になった諸君が、知的に、根源的に「自分自身と世界」を考えるための、一つのキッカケになれば、と願っている。 大切なことは「知識」や「結論」ではない。疑問を持つこと、考えること。 諸君の中に「問題意識」を喚起することを最大の目標にしたい。 ◆授 業 計 画 ◎ 講義を「全身全霊で聞き・感じ取り・考えようとする態度」があれば大丈夫(無ければダメ)。「板書」は、ほとんどしない。「黒板写し型勉強」から脱却しよう。何よりも、話をよく聞いて、その場で「感じ」、その場で「考え」、その場で「理解できるだけ理解してしまう」ことが大切。──ノートを取るべきポイント等は、授業中に指摘するから、安心していて大丈夫。内容的には、予備知識が無くても、最低限必要なことは「分かる」はずだ。 おおむね、以下の順序で講義する予定(諸君の問題意識や理解度によって途中変更あり)。 1 「根源的(ラディカル)に考える」態度について (1)「根源的に問う」こと (2)「自己」と「世界」 (3)何が「人間」を価値づけるか──「神のある世界」と「神の無い世界」(有島武郎等) 2 我々の状況──近代における「人間」の問題 (1)近代と前近代──「人間」の問題として (2)「神・超越性」と近代人(有島武郎等) (3)近代的「人間」観と、その問題点 (4)「近代ヒューマニズム思想」について (5)何に抗って「人間を大切に」するのか 3 現代の状況と人間 (1)「国家」と人間 (2)「資本」と人間 ◆成 績 評 価 学期末に、ノート(そのほか何でも)持ち込み可の、記述式テストを行う。それと、出席点を加味して評価する。ノートをしっかり取っていることが大切だ。 ◆テ キ ス ト 用いない。必要に応じてプリントを配布する。 ◆参 考 書 必要に応じ、講義中に紹介する。 ◆担当教員から一言 ◆ 授業中の「私語・内職」はもとより「よそ見・ぼんやり」も厳禁する。 これらの行為は教室の「空気」を乱し、「ライブとしての授業」に必要な「ピーンと張りつめた緊張感」を崩し、その結果「授業のレベル」を下げて、そのことで、真面目に学ぼうとする学生の迷惑になるからである。注意に従わぬ学生は追放し、以後の受講を認めない。 |