白梅学園大学/白梅学園短期大学

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【学長室だより】白梅学園大学・白梅学園短期大学 保護者会講演

白梅学園大学・白梅学園短期大学 保護者会講演 学長 近藤 幹生  2018年7月11日

「一人ひとりが学びの主人公」ー白梅学園の歩みと80周年の夢ー

 

皆さん、こんにちは。

はじめに、この4月より、白梅学園大学・短期大学の学長に就任しております、近藤幹生です。

2007年に白梅学園短期大学保育科の教員になり、11年目になります。改めまして、どうぞよろしくお願いします。

 

本日は、週末に本学へお運びいただきまして、大変ありがとうございます。

45分間ほどになりますが、「一人ひとりが学びの主人公」というタイトルで話をさせてください。副題を白梅学園の歩みと80周年の夢とさせていただきました。

画面と同じ内容をお手元のペーパーに配布させていただきましたので、ご覧いただき、どうぞ、気軽にお聞きいただけたらと思います。

 

この間、私は学生へのメッセージとして、次のような内容を伝えてきました。

 

ヒューマニズムの精神を基礎として、本学は75周年を迎え、今、80周年に向かっております。

ヒューマニズムとは、人間的なことを尊重する思想を表現する言葉といえますが、白梅学園の建学の理念として掲げられてきています。

保育、教育、心理、福祉などの対象は一人ひとりの人間です。ヒューマニズムという言葉、創立時には、女子教育、あるいは母性保護、そして生活の中での科学化などがあったようですが、時代を経て人間重視、人間の尊厳、つまり、一人ひとり、かけがえのない存在だ、という意味でおさえていただけたらと思います。今日の様々な課題についても、この基本に立ち返って考えてみる必要があると思います。

 

大学から、社会のあり方を問う。やや大げさに聞こえるかもしれません。ですが、現代の日本の社会には、問題点や課題が山のようにあるということです。このあり方を問うということです。

数点、例をあげてみますと、認可保育園に入れない待機児童という問題があります。そして待機児童対策ということから保育施設が増設されています。

ですが、子どもたちが入る場所が確保されていればよいのかどうか。子どもたちは、どのように過ごすべきなのか。そこで、どのような保育が行われるのかという「保育の質」が問題ではないかと言えます。

保育学を学びながら、そのことを問う、考えていく保育者をめざしてほしいということです。また、最近も報道されていますが、児童虐待問題が深刻です。乳幼児の生命が脅かされるという大きな課題です。私たち大人社会には、何が求められているのでしょうか。児童の養護、子どもの権利をどうとらえればよいのでしょうか。そして福祉専門職としては、どう学びを深めるかという課題があるといえます。さらに高齢者福祉・介護分野にも課題があります。こうした社会のあり方を問うのが、大学・短期大学の役割、学びだということです。

 

そして、社会の歴史を学ぶ必要があります。今後、少子高齢社会が急速に進む中で、AI人工知能がどのような役割をもつのでしょうか。未来を見つめ、考えていくことが必要です。学生たち一人ひとりが、幅広い教養を身につける、文化のあり方も考え、豊かに深めていくことが大事だと言えます。

様々な問題は、なぜ起こるのか。自分は、それをどう考えるのか、という探究心をもっていくことです。それが大学・短期大学での学問研究の道だということになると思います。そして、仲間や教員とともに語り合い、自由に、対等に、ディスカッションを進めます。

 

もちろん、保育・教育・心理・福祉にかかわる専門力も向上させていかねばなりません。専門的知識や技術を修得していきます。たとえば、特別支援教育の学び、心身にハンディをもつ子どものことを、どうとらえればよいでしょうか。そして新たに、公認心理師をめざす学びも可能になっていきます。

専門力の向上ということでは、学外での実習を積み重ねていきます。大学・短期大学のキャンパスでの授業と連動させて体験的に学びます。たとえば、小学校の教育現場へ実習に向かう学生がいます。各教科ごとの指導案をどうするのか、また学力問題、いじめや不登校、そうしたケースをどのように考えるのか。専門的知識・現場実習などでも経験を重ねていきます。実習は、本学の教員、実習現場の指導者と連携を密にしながら、専門力を向上させていきます。

 

こうした学びを進めてきておりますが、少しだけ、本学の歴史を紹介させてください。学生たちも本学の歴史を学ぶことで、白梅学園大学・白梅学園短期大学が自由主義的な教育・研究の土台があることを知り、学生生活において、学びの主人公として、自らより能動的になる面があると考えております。

 

1942年 東京家庭学園が創設されますが、1945年第二次大戦末期、東京大空襲で一切の施設を焼失とあります。戦後、1950年に、東京家庭学園付属の白梅幼稚園が開始されます。戦後、1953年近代保育の先駆者、リトミック教育を日本に広めた小林宗作が、本学の教育に関与しております。黒柳さんの『窓ぎわのとっとちゃん』に登場する校長先生です。

1957年白梅学園短期大学が創設されます。その後、短期大学時代は60年以上続いてきていることになります。2005年、四年制大学子ども学部がスタートします。2008年には、大学院修士課程。その後博士課程が誕生し、現在に至ります。

本学の歴史の中で、第二次世界大戦という厳しい時期に誕生したという事実、大正自由主義教育の影響を受けていること、戦前の深い反省から生まれた平和への希求という、基本的な考え方、人間尊重という理念が、こうした歩みの中で確かめられてきたことが重要であったと考えております。

 

いま、創立80周年に向かっています。

時代の変化とともに、施設・設備は修繕を余儀なくされてきています。耐震性に問題のない施設への工事をこの間実施し、今後も施設設備の改修もし、より良い教育環境の改善をはかりながら、80周年には、大学・短期大学の新しい校舎をめざしたいとの夢を持ち、力を入れているところです。

 

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ここで、学生たちの今を、具体的に紹介させてください。

短期大学は保育科。大学は子ども学科、発達臨床学科、家族・地域支援学科があります。

すべての、学科・学年ということではなく一部の紹介になりますが、とても能動的な学びの姿が見られます。

 

日常の学生生活の場面ですが、私は時々、学内の生協で食事をします。学生たちは、人なつこく気軽に話しかけてくることもあります。5月頃でしたが、コピーの方法を質問されて、数人を連れて、案内したことを思い出しました。では、学びの場面はどうなのでしょうか。

 

1年生は、毎年4月末に、各学科ごとに、オリエンテーションセミナーを実施しています。短期大学保育科の様子を紹介します。「保育・幼児教育の魅力を考える」いう短い話をさせていただいた後、グループ討議がありました。すでに日中はスポーツをし、豊富なメニューの夕食を十分食べた後、19時過ぎのプログラムで一番眠くなるはずの時間帯でしたが、グループ討議は大変活発な状況でした。その学生たちの声として「保育者の地位をあげて社会に保育者の必要性を知ってもらう必要がある」「保育の質を高める必要がある」「大人が思っている以上に、子どもたちからたくさん学びあえる場が大事だ」などの意欲的な発表でした。

 

学部の1年生の授業「人間の尊厳と自立」という、ゲストを招いての授業を聞いた学生の声を、教えてもらいました。

「介護福祉士はその人に「してあげる」のではなく、当たり前を取り戻し、「今の夢を」引き出す仕事である。人の夢を一緒に見つめ、努力できる。」と言う、講師の話を聞きました。

また、初め、介護の仕事は大変な仕事と決めつけていたが、将来の自分の職業として考えてみようと思った、という学生もおりました。

 

学部の3年生の授業を私も担当させてもらっています。最近のリアクションペーパーにはこんな内容があります。

「療育機関との連携に関心を持った。保護者が自分の子の障害を認めることは難しいと思う。しかし、早期に療育を始めることでより良い方向性にむかうのではないかと思った」「保育者が、各専門機関とつなげていく役割があることを、よくかみしめたい」

「保育園から見ても貧困問題は深刻である。子どもの貧困は、命にもかかわることということもあり、対応についてもっと考えねばいけないと思う」

「演習授業で小学校へ行った。小1プロブレムについて聞きました。幼稚園、保育園、小学校の連携、連絡会などが大事だと思った」

「保護者との信頼関係が重要だと思う。厳しい要求をしてくる親たちのことを、単純にモンスターペアレントだと決めつけるのではなく、保護者の置かれた背景など相手の立場を理解することが必要だと、整理できるようになった」

 

3年生として、専門職を目指す自覚が育ってきていること、文章表現力もついてきていることがわかります。

 

大学では4年生、短大では2年生が、まとめの時期、いわば、学びの集大成とも言えます。

大学の卒業論文・卒業研究では、白梅子ども学会が2月後半にあります。短期大学ではゼミナール研究発表会が、同時期に行われます。自分の考えを文献を読みながら論文にする、あるいは調査をする、仲間たちと研究発表をする取り組みを通して、学生たちは飛躍的に育っていくことを、目の当たりにすることができます。

 

本学では、白梅子育て広場という取り組みを、10年以上にわたって実施しています。

親子や地域を巻き込んでの取り組みです。この取り組みをまとめた冊子の中で、子育て広場は、「総合的な取り組み」であると書かれています。学生たち自身の認識として、子育て広場は「自分で考え、方向を決め、実行して振り返る」ということだと、整理されています。また卒業生とのつながりなども貴重な経験になってきております。

 

最後になりますが、全体として、私は学生たちには、大いに学び研究してほしい。自主的な論理的な思考力を身につけてほしいと思います。そして、子ども・人間への理解、やさしい眼差しを持ってほしいと思います。本学の学生たちは、とても優しいと思います。子どもや、ハンディをもつ人たち、弱者へのあつい思いがあります。自分自身についても誠実さがあります。さらに一人ひとりが主権者として成長してほしいと願わずにいられません。

 

それぞれの学生たちが、大学・短期大学を問わず、人間を尊重する理念を踏まえながら、学びを深めてほしいと思います。その際、人間らしいとは、完璧な完成された強い存在というイメージよりも、未熟さもある、不十分さがあるからこそ、人と人は支えあえることの意味を考える大人であってほしいと思います。

そして、社会人になってからこそ、学び続けること、自分の意見を持つこと、批判的精神が旺盛であることも大事にしてほしい。他者への尊重について、深く考えること、そんな主権者を目指してほしいものです。

複雑な日本社会ではありますが、学生たち一人ひとりの存在へ信頼をよせながら、能動的に学び生きることを考え合いたいと思います。

10代最後から20代初めは、多感であり、迷いや、失敗もあり得ます。でも、そこから、自らの足で立ち、歩き続ける学生たちの姿には、頼もしさがあります。

保護者の方々の立場から、さまざまな気持ち、あるいは不安、そして期待もあると思います。どうぞ、学生たちを信頼していただき、支えていただければと思います。

 

時間になりましたので、終わらせていただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

 

 

 

 

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